この本について
本のタイトル:小説 君の名は。
著者名:新海 誠
発売日:2016年6月18日
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。一方、東京で暮らす男子高校生・瀧も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくが――。
出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。
繊細な描写 スピード感のあるストーリー
2016年8月26日公開の映画『君の名は。』の新海誠監督が執筆した原作小説です。
同い年の男女が夢の中で「入れ替わる」お話。
でも、よくある「入れ替わりもの」ではなく、意外性のあるストーリーで、読み進めていくうちにどんどん物語に惹きこまれていきます。
本のあとがきの中で、新海監督は、もともと小説を書くつもりはなかったということを書かれていますが、
アニメーションにするべく生まれた作品というのが小説を読んでいてとてもよくわかります。
とても繊細な描写で物語は進んでいきます。
それぞれの家や街の描写は目の前のスクリーンを見ているように細かく描かれています。
でも、決して説明が多いということではなく、どちらかと言うとスピード感のある小説です。
糸守町という架空の田舎町と東京の場面の切り替えも、映像を見ているような印象を受けました。
誰もが持っている「懐かしさ」
都会に生まれ育った人でも、日本の田舎の風景を見て「懐かしい」と思うことがありますよね?
私は田舎育ちなので、テレビなどでそう聞いただけですが…
東京育ちの主人公 瀧も糸守町の風景を見て「懐かしい」と感じます。
「そういった風景を見たら懐かしいと思う」と日本人のDNAに組み込まれているのではないかと思うくらい不思議な現象ですね。
日本の伝統的な田舎の風景がとても鮮明に描かれているので、小説を読んでいるだけで懐かしい気持ちになり、その場所に行ってみたくなりました。
もう一つの懐かしさ。「青春」です。
三葉と瀧、入れ替わるので二人は出会うことはないのですが、次第に距離が近づいていく様子が上手に表現されていて、
「入れ替わり」という特殊な体験をされた方はなかなかいないと思いますが、
誰もが一度はしたことがあるような甘酸っぱいもどかしい気持ちを思い出させてくれます。
きっと読者それぞれの思い出に照らし合わせて、多くの方が共感できる作品だと思います。
最後に
私はまだ映画は見ていません。
映画を見る前に、どんなお話かも知る前にこの小説に出会いました。
最初はストーリーの面白さにどんどん読み進めていきましたが、
物語の中の繊細な描写など、この作品の魅力はストーリーの面白さだけではありません。
物語の展開が分かった後も何度も読み返したいなと思いました。
映画を見た方も、初めてこの作品を知った方もどちらも楽しめる小説だと思います。
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